エイジングを愉しむ ~モストロレザー~
2020.03.13
皮を革として使えるようにするには、まず「鞣(なめ)す」という工程が必要です。鞣しの種類はさまざまありますが、鞣すことで柔軟で長持ちする革になり、私たちが日頃使っている革製品に加工することができます。
鞣しの種類は、植物を使った「タンニン鞣し」、化学薬品を使った「クロム鞣し」、その両方を使った「混合鞣し」等の種類があります。
タンニン鞣しは作業に時間がかかりますが、出来上がった革は硬くて丈夫。経年変化しやすいのが特徴です。クロム鞣しは作業時間が短く、出来上がった革は薄くて軽く、比較的経年変化が少なめです。混合鞣しは、最初にクロムで鞣した後にタンニンで鞣します。タンニン鞣しほど顕著ではないものの、適度に経年変化を感じられます。
「モストロレザー」は、タンニン鞣しを施したヌメ革に丁寧に手作業でオイルをたっぷり染み込ませ、表面にパラフィン加工を施したものです。
パラフィン加工とは、撥水効果のあるロウを吹き付ける作業で、表面が白っぽくなるのが特徴です。使い始めるとだんだん表面のロウが溶け、手脂と一緒に革の中へと染み込み、深く艶やかな色になっていきます。
その激しいエイジングにより、イタリア語で「化ける」の意味を持つ「モストロ」と呼ばれるようになりました。経年変化を愉しみたい人には特にオススメしたい革です。
使い始めの革はマットな質感でさらっとしています。
さらさらしているけど乾燥しているわけではない独特な手触りと、パラフィン加工と染色による色ムラが作り出す個性的な表情が魅力の1つです。それが、使うほどにロウが溶けて手脂と共に馴染み、艶と深い色合いへと変化する様はまさに「化ける」という名前にぴったり。
毎日使っていると気付かない変化も1か月後に新品と見比べてみると、その激しいエイジングにびっくりするかもしれません。
早く味を出したくてこまめにレザークリームを塗る人も多いかもしれませんが、手脂がクリームの代わりとなってくれる為、あえて何も塗らずに自然と自分らしい「味わい」が出てくるのを待つのも愉しい時間ではないでしょうか。
革の表情は持ち主の個性がくっきりと現れます。刻まれた皺や傷は共に過ごしてきた歴史の証。初めは小さな皺や傷がつくことに抵抗を感じていても、だんだんそれが味わいとして感じられるようになり、愛しくなってくるはず。
そろそろ新しい物を買おうかな。と思っても、すっかり身体に馴染んだかけがえのない相棒は手離すことができない大切な存在に。
自分が使っていたものを、大切な誰かに託す。重ねた時間に更に時間が重なり、新しい表情が生まれる。ヴィンテージからアンティークへ、世代を超えて受け継ぎ使えるのも革製品の魅力です。
今回、CLEDRAN商品の中で数ある革の中から「モストロレザー」をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。エイジングしやすく、上品よりもワイルドな印象を感じられるこの革は好き嫌いが分かれるかもしれません。
どんな革でも、出てくる「味」を良いものにするのか悪いものにするのかは使う人の感じ方次第。そこに魅力を見出して、世界に一つ、自分だけの革へと育ててみてください。
記事掲載商品
今回ご紹介したモストロレザーを使用した商品は「モストロレザー」で検索
\ follow us! /
CLEDRAN JAPAN facebook : CLEDRAN JAPAN
CLEDRAN JAPAN instaglam : @cledran_japan