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meet a tanner

2016.08.01

————皮から革へ。

 自然が育んだ原皮に、伝統の技術とものづくりへの飽くなき追求心を注ぎ込み、素材としての新たな命を吹き込む。その主翼を担うのがタンナーと呼ばれる職人・革工房です。皮革製品づくりにおいて欠かすことのできない存在である彼ら。CLEDRANにとって、共にものづくりに励む心強いパートナーでもあります。

 現在進行中である新作に使用する革の確認と新たな革の試作に向けて、CLEDRANのデザイナーがタンナーを訪れました。各地に拠点を置くパートナーの中でも、今回訪れたのは兵庫県姫路市とたつの市。古くより革の生産地として栄えている歴史ある土地です。

 今回のTOPICSはニッポン・レザーの原点、タンナーの現場をお届けします。

 

 

​ 塩漬けや乾燥により保存が効く状態になった原料皮が、タンナーの元にやってきます。加工しやすいよう背中から左右対称に裁断する「背割り」や「脱毛」、繊維をほぐす「石灰漬け」を終えた皮が、「鞣し(なめし)」の工程へ運ばれてきました。

 轟々と音を立てて回るドラム。太鼓とも呼ばれるこの巨大な樽は、耐熱性や耐久性を与える「鞣し」や、狙いの色に仕上げる「染色」など様々な工程で登場します。回転するドラムの遠心力により鞣し剤を浸透させ、強度としなやかさが加えられていくレザー。動物の皮膚である「皮」がようやく素材としての「革」になる瞬間です。

 大人の背丈を優に超えるドラムは、いずれも休むことなくフル稼働。見慣れた光景となった今も、タンナーに訪れると決まって時を忘れて魅入ってしまう独特の存在感を放っています。

​ 鞣された革の状態を、熟練した職人の鋭い眼で選別。革の厚さを一定に整えるシェービングを経て、基本の色を決める「染色」へと進みます。
 タッチ感は?風合いは?シーンに映える色合いとは?そのレザーアイテムにとってのベストな表情を引き出す為に、染色の調合をする際には幾度も話し合いを重ねます。
 私たちが一人ひとり多様性に富んでいるように、ひとつとして同じものはない天然素材。タンナーたちは安定した品質を創り出すべく、一枚一枚の個性、水、気温や湿度にも神経を研ぎ澄ませ、日々工房に立つのです。

 染め上がった革は、余分な水分を除くため吊るし、乾燥をさせます。革が干されている間にも、表情は刻一刻と変化。革と己自身に向き合うかのように、職人は目を光らせます。

 いよいよ細心の注意が払われる仕上げの工程へ。
 アイロン掛けでは熱と圧力を与えプレスし、革を伸ばします。硬い革を柔らかくする事は可能ですが、その逆は不可能。これによって革が決まってしまう大切な工程です。理想とする革に出会う為、その眼差しは真剣。指先にまで神経を集中させます。

 革の化粧とも言える仕上げ工程は、必ず熟練された職人が手作業で行います。アイロンの他、塗装による最終色調整や、艶・風合い・性能の付加など、目指す製品によってその工程は様々。一枚一枚全て表情が異なる革を、じっくり確認していきます。

 厚み、柔らかさ、銀面(革の表面)の色、床面(革の裏面)の上がり…。状態と工程を直に見ながら意見を交わすことで、より多角的に厳しい目で素材としての精度を高めていきます。実際に足を運ぶ。その理由が、ここにあります。

​ 自分の理想とする革を目指すデザイナーと、その革を現実に生み出すタンナー。良いものを創り上げようとする姿勢は互いに同じです。

 陽射しの高かった午前中にタンナーに入り、帰る頃には空の青がひたひたと沈んでいく夕刻に。今日は動きを止めた太鼓に見送られ、工房をあとにしました。

 長年培ってきた日本の職人の技術と想い。一緒に時を過ごしていく中で、そんな創り手の素晴らしさを体感し、共有できる架け橋となるようなものづくりに取り組んでいます。
 手にしていただいた方の一生ものとなるような製品を届ける為に。デザイナーのペンも走ります。ぜひお楽しみにお待ちください。

NIPPON LEATHER

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