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meet a craftsman

2017.11.29

美しい。心が素直にそう反応する端正な佇まいが、国境を超え支持を受けている「DEUX TRAVA」シリーズのブリーフケース。その立体的なフォルムは、高度な技術を持つ職人の手で、一点一点形造られています。今回のTOPICSでは、ブリーフケースをはじめとしたCLEDRAN製品の製造を手掛ける職人を尋ねました。

素材、加工、縫製、仕上げ…。工程一つひとつにクオリティへの飽くなき探求心をそそぐことは、持つ人の個性を輝かせるものづくりに取り組むクレドランにとって欠かすこのとできないこだわりです。妥協なきものづくりを追求した先に出逢ったのが、今回ご紹介する職人・篠田さんでした。

日本鞄ハンドバッグ協会技術認定皮革鞄部門1級を持ち、技術コンクールにおいても数々のタイトルを受賞している篠田さんは、親子二代続く職人一家。篠田さんの父・次郎さんも、日本鞄ハンドバッグ協会の技術認定委員を務めている鞄業界では名の知れた凄腕職人です。

息子である篠田さんから「現代的な考えを持った人」と称される父・次郎さん。その柔軟な思考力と先見の明から、バブル崩壊や海外生産への移行といった荒波さえも、技術向上に励む原動力に変えて乗り越えて来ました。才幹は脈々と受け継がれ、今では親子そろって業界を牽引する存在となっています。

「品質のためには、少しの手間も惜しみません。そうすることで、私が大切にする"美観"が生まれるのだと思っています」そう語る篠田さんのストイックさは、例えば持ち手の仕上げに現れます。

裁断し、金具・芯を付け、プレスをかけ、ようやく縫製を終たハンドルは、カンナで断面の角張を削り、バフをかけて毛羽立ちをおさえ、クリアな目止めでコバの処理を……。持ち手一つ取っても十をも超える工程が粛々と行われています。

中でも目を惹いたのが、ハンドル端を革包丁で極わずかにカットする工程です。篠田さんに話を聞くと、それも品質を最優先した結果なのだと話してくれました。「ミシンをかけて終わりのところも多いと思います。その方が楽だというのはわかるんですが、ハンドルは最も手に当たるところ。この手間を惜しまず手を掛けることで、持った感じが全然違ってくるんです」。こうした繊細なミリ単位の作業一つひとつに、美しさが宿っていきます。

鞄職人としてのキャリアを積んだ篠田さんが今見据えているのは、業界自体の進む道。ものづくり業界をさらに盛り上げていくには、次世代の育成が欠かせないと考えています。

「鞄づくりをしたい子はいるけれど、まだまだこの業界は体質が古い。受け皿をちゃんとしてあげて、せっかくの情熱に水をささずに職人が育つ環境をつくっていかなければいけない。」と篠田さん。そういえば、工房には一人の若い職人さんが真剣な眼差しで作業に取り組んでいました。

「彼が入ってもう何年になるか。やる気を生かして励んでくれているので、できることが着実に増えてきています。ものづくりを盛り上げるためにも、大阪に職人さんを増やしていきたいですね」。実直な職人の志が、これからのものづくりの進む道を照らしています。

取材の結びに、篠田さんからこの記事をご覧くださっているみなさまへの一言をいただきました。

「私自身、DEUX TRAVA WELLHOLD CASEを使っています。見た目のバランスが良く、飽きがこないのが良いですね。カジュアルでもスーツでも持てるのが、便利で気に入っています。3年以上経っても、生地が劣化しないし、型崩れもしていない。雑に使っても良いし、丁寧に使ってもらったら一生モノになるはずです。」

そんな職人・篠田さんとは実は新たな製品づくりが進行中。みなさまにお披露目できるその日まで、ぜひお楽しみにしていてください。