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LACE SERIES by the craft factory

2017.05.12

クレドラン本社の地下へ続く扉を開くと、ミシンや工具、多種多様な革がズラリと並ぶアトリエが。勢い良く走るミシンやカシメを打ち付けるトンカチの音が、絶え間なく鳴り響いています。そんなアトリエは、クラフトファクトリーの商品生産はもちろんのこと、企画やサンプル制作など、まだ世に出る前の試作品が日々生まれる場所。クラフトマンたちがアイデアを凝らし、腕を振るって商品づくりに取り組んでいます。

 

今回のTOPICSではクラフトファクトリーから生まれた LACE シリーズを特集。商品ページには載せきれなかった製品の背景や魅力を、職人・内田へのインタビューを交えてお届けします。

女性好みの可愛らしいサイズ感とそれといって甘すぎないフェイス、そしてオールレザーの貫禄から、一目惚れしたスタッフも多いこのアイテム。

 

革のボタンやカッティング、バッグの角などの細部に至るまで、他ではなかなかお目にかかれない手の込んだ作りに仕上がっています。職人の丁寧な手仕事を感じさせてくれるそのデザインは、一度見たら忘れられない存在感を放ち、遠くから見ても雰囲気ある佇まい。 お出掛けのお供がこのバッグになるだけで、どこからともなく自信がわき出しいつもより胸を張って歩けるような気がします。

 

金具を使わずに作り上げられたバッグは、オールレザーの鞄としては軽い持ち心地。見た目だけではない、実用品としての配慮も嬉しいポイントとなっています。

職人の内田に製品に込めたこだわりや想いを聞いてみると、自分の子供の話をするかのような表情で嬉しそうに語ってくれました。

 

ヴィンテージものや文化に造詣の深い内田。豊富な知識を持ち合わせている彼が目をつけたのは、60~70年代のヒッピーバッグでした。
「可愛くて、それでいて工芸品みたいな雰囲気に魅力を感じていて。ただあまりにも持つ人を選ぶし、どちらかというと世間には浸透しにくいのがもったいない。どうにかしてこの良さを多くの人に広めたいな、と思ったのが始まりかな。」

 

ヒッピーバッグをインスピレーションに、幅広い層に対応できるようなデザインへ。そして日々使える強度を保ちつつ、軽さを追及したバッグを目指そうと生まれた発想が“金具レス”です。

金具を一切使わずに仕立てる鞄はクレドランとしては初めての試みで、幾度となく構造や細部の調整がなされました。

ミシン縫いより手縫いが好きだという内田にとって、全てを革紐で縫い上げる方法について考えを巡らすことは楽しい時間だったよう。「ミシンではできないことも、手縫いだと可能なことがある。でもその自由度が魅力であり、悩まされる部分でもあった。」と話す内田。方法の多さに頭をひねり、デザインや強度、生産工程のことを考えながら少しづつ形にしていったそうです。「楽しい分、難しくもあったよ!」と苦笑しながらも、その過程を話す内田はなんだか充実感に満ちていました。

 

続いて、一番辛かったことは何だったのか聞いてみると「穴あけ!」と即答。それもそのはず、ひとつのトートバッグに対して穴の数は700以上。それをなんと総計6メートル弱の革紐で手編みしていくのだから。そしてその仕事は革を傷つけぬよう針を使わない丁寧なものです。苦労と共に愛着が込められた鞄からは重厚感と風格が薫り立ちます。

 

「とても価値のあるものに、今後出てこないであろう鞄に、仕上げる事ができた気がする。」誇らしげな言葉が印象的でした。

店舗での販売経験を持つ内田は、時折店頭でお客様との会話を楽しむことも。ある日、お店で出会ったご年配の女性から「昔ながらの形を今風にしている素敵な鞄ね。」との言葉をいただいたのだとか。 「そう言ってもらえたことがきっかけで、次に作る鞄は年齢によって違って見える、違った良さが現れる、そんなものにしようと思ってね。」

 

ファッションや恋愛、流行など何かに夢中になる10〜20代には周りとかぶらないセンスある鞄として、結婚や仕事、子育てなど変化の多い30〜40代には品性感じる鞄として、審美眼を培い自身の生活を豊かにするものが何かを理解できる大人世代には媚びない愛らしさを備えた鞄として、どのライフステージを過ごす日々にも寄り添えるように。お客様の言葉からヒントを得て、そんな想いをLACEシリーズに込めたようです。
そうしたエピソードもあってか、内田の思い描くLACEトートの理想のモデル像は白髪が素敵な女性だそう。「LACEは代々引き継げるものであって欲しい。願わくば何十年も経った頃、『母から譲ってもらったんです』と言う方に出会えたら最高。」と笑顔で語ってくれました。

デニムにもスカートにも合わせやすく小振りに見えながら色々と収まるので、活躍する日は多そう。トートバッグには長財布と水筒を入れてもまだまだスペースがあり、ペンケースにA5ノート、カードケースにキーケースも入る容量です。ショルダーバッグには貴重品の他にB6サイズの手帳とポーチが2つ入るほどの余裕があります。

 

実際、とあるスタッフは早く味出しをしたい!と雨の日も風の日も愛用中。休ませながら綺麗に使うのも素敵ですが、荷物の型がつくほど毎日使うことで、自分だけの深い味わいのある一点にしたいのだとか。
一ヶ月使ってみた現在は、おろしたてに比べハンドルが自分の手にしっくりとおさまる快調な使い心地。艷や色合いなど、過ごす時と共にじっくり深まる表情の変化がこれから楽しみです。

良い具合に育ってきた頃にはSNSでご紹介したいと思います。ぜひチェックしてみてください。

 

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